| 原子量 | [251] |
|---|---|
| 分類 | 第7周期 / 第3族 |
| 状態(常温) | solid |
| 発見者 / 年 | シーボーグら (1950年 / アメリカ) |
カリフォルニア州にちなんで名付けられた放射性の人工元素です。自然界には存在しませんが、強力な中性子を放出する珍しい性質を持ちます。この性質を利用して、空港の爆発物検査装置や、地中の地雷探知、さらにはガン細胞を破壊する放射線治療など、作られる量は極めて少ないながらも意外なほど実用的に使われています。
バークリウム(大学の所在地)に続き、発見された場所であるカリフォルニア州の名前がそのまま付けられました。アメリカの科学技術の圧倒的な力を世界に誇示した、スケールの大きな命名です。
カリホルニウム252という同位体は、自発的に核分裂を起こして大量の中性子を放出するという極めて珍しい特徴があります。たった1マイクログラムで1分間に1億個以上の中性子を吹き出す驚異の線源です。
強力な中性子を荷物に当てて、中に含まれる物質の成分を非破壊で瞬時に分析することができます。この中性子ラジオグラフィという技術を使い、空港の手荷物検査で隠された爆薬や麻薬などを確実に探知します。
地面の奥深くに中性子を打ち込み、跳ね返ってくるガンマ線を分析することで、地中に埋まった危険な地雷や、貴重な金や銀の鉱脈を探し当てる携帯型の探知機の強力なセンサー部品としても利用されています。
医療の最前線では、子宮頸がんや脳腫瘍などの治療にカリホルニウムの中性子線が使われることがあります。普通の放射線よりもガン細胞を破壊する力が強いため、小さな針状にして患部に直接差し込んで治療します。
原子炉で何年もかけてプルトニウムなどに中性子を吸収させ続けてようやく数ミリグラムが合成されます。実用的な用途がある人工元素の中では世界一高く、1グラムあたり数十億円という途方もない価格がつきます。
カリホルニウムはさらに重い元素を作り出すための材料にもなります。これを原子炉に入れてさらに激しく中性子を浴びせ続けることで、次の99番元素アインスタイニウムが合成されていきます。
大量の中性子線を放出するため、鉛の壁では防ぐことができません。水やコンクリートなどの分厚い壁で囲まれた特殊な遮蔽施設でなければ安全に取り扱うことができない、極めて危険な物質です。
石炭を燃やす前に、その中に硫黄や灰分などの不純物がどれくらい混ざっているかをカリホルニウムの中性子を使ってベルトコンベア上で瞬時に分析し、工場の燃焼効率を上げる見えない工夫にも使われています。
超小型で強烈な中性子を放出し続けるという唯一無二の性質から、SF作品ではパワードスーツを動かすための携帯型核融合炉のスターター(起爆剤)や、宇宙船の超小型原子炉のコア素材として設定されます。