| 原子量 | [247] |
|---|---|
| 分類 | 第7周期 / 第3族 |
| 状態(常温) | solid |
| 発見者 / 年 | シーボーグら (1944年 / アメリカ) |
放射能の研究に生涯を捧げたキュリー夫妻にちなんで名付けられた人工の超ウラン元素です。強烈な放射線を出し、そのエネルギーで自ら光と熱を放ちます。火星などの宇宙探査機に搭載される岩石分析装置のアルファ線源として、人類に代わって未知の惑星を調査する重要な任務を担うハイテクな物質です。
放射能分野の開拓者であるマリー・キュリーとピエール・キュリー夫妻の功績を称え、シーボーグらが名付けました。彼らが発見したラジウムやポロニウムの研究が、この元素の誕生へと繋がっています。
原子番号はアメリシウム(95番)より一つ後ろですが、実はキュリウムの方が数ヶ月早く人工合成されて発見されました。分離の難しさから、研究の進展に少し前後のズレが生じたためです。
非常に強い放射能を持つため、空気中の分子と反応して自ら妖しい赤紫色の光を放ち続けます。もし塊を部屋に置けば、自らの放射線のエネルギーによる熱で水が沸騰してしまうほど高温になります。
アルファ線を安定して出す性質を利用し、キュリウム244が火星探査車マーズ・パスファインダーなどのX線分光計に搭載されました。火星の岩石に放射線を当て、その成分を正確に分析する重要な役割です。
プルトニウムなどと同じく、体内に入ると骨に蓄積しやすい性質があります。強烈なアルファ線を出し続けて骨髄を破壊し、深刻な放射線障害を引き起こすため、取り扱いには極限の防護設備が必要です。
人工的に合成される量が極めて少なく、自らの熱で化合物を壊してしまうため、純粋な銀白色の金属の塊にするのは至難の業です。特別な実験室で、顕微鏡でしか見えないほどの微量しか作られません。
周期表で真上にあるガドリニウムと電子の配置が似ているため、化学的な性質がそっくりです。キュリー夫妻の名前をつけたのも、ガドリニウムがフィンランドの化学者ガドリンに由来することに合わせたためです。
原子炉でプルトニウムに長期間中性子を当てて合成するため、莫大な時間とコストがかかります。商業的な売買はされませんが、もし1グラム作るとすれば数億円から数十億円という天文学的な費用になります。
プルトニウムよりも高い熱を出すため、非常にコンパクトな原子力電池(RTG)の熱源として人工衛星に搭載する研究が進められました。しかし寿命が少し短く放射線も強いため、現在は限定的な用途に留まります。
火星探査機で実際に岩石を分析したという輝かしい実績から、SF小説や映画では、未知の惑星に降り立った探査ドローンが地質や大気を解析するための超高精度センサーのコア素材として名前が使われます。