| 原子量 | [243] |
|---|---|
| 分類 | 第7周期 / 第3族 |
| 状態(常温) | solid |
| 発見者 / 年 | シーボーグら (1944年 / アメリカ) |
アメリカ大陸にちなんで名付けられた人工元素です。人工の超ウラン元素の中では唯一、火災報知器(煙感知器)のセンサー部品として私たちの身近な生活空間で活躍しています。微量の放射線を使って火災の煙を正確に感知する、非常に賢く実用的な性質を持った元素です。
周期表で真上にあるユウロピウムがヨーロッパ大陸にちなんでいることに対応させて、発見されたアメリカ大陸の名前が付けられました。シーボーグの研究チームによる、遊び心のある粋な命名です。
発見者のシーボーグが、クイズ・キッズという子供向けラジオ番組にゲスト出演した際、子供から新しい元素は見つかったかと聞かれ、うっかり公式発表の前に新元素発見をフライングでバラしてしまいました。
ごく微量のアメリシウムが放つアルファ線で空気を電気に通しやすくしておき、そこに煙が入ってくると電流が変化してアラームが鳴るという、非常に感度の高い煙感知器として世界中で使われています。
煙感知器に使われるアメリシウムの量は極めて微量であり、アルファ線は空気中で数センチしか飛ばずプラスチックのカバーすら貫通できません。そのため、天井に設置されていても人体への影響は全くありません。
工場などで生産されるガラスや金属の薄い板の厚さを、製造ラインを止めずに正確に測定するための放射線透過ゲージの線源としても利用されます。透過する放射線の量の変化で厚みを精密に測ります。
アメリシウム242という同位体は極めて核分裂を起こしやすいため、これを利用してごくわずかな燃料で火星などの遠い惑星まで一気に飛んでいく未来の原子力推進ロケットの研究が進められています。
原子炉の廃棄物から抽出されるため、純粋なアメリシウムは1グラム数万円から数十万円と高価です。しかし煙感知器に使われる量は100万分の1グラム以下なので、製品自体は数千円で安く買えます。
原子炉の中で長期間使用された核燃料の中には、プルトニウムが中性子を吸収してアメリシウムに変化したものが蓄積していきます。そのため、放射性廃棄物を処理する際の重要な管理対象物質となっています。
欧州宇宙機関(ESA)は、プルトニウムの代わりにアメリシウム241を使った新しい原子力電池の開発を進めています。半減期が約432年と長いため、より長期間の宇宙探査ミッションが可能になると期待されています。
煙感知器という極めて実用的な用途から、ハードSF小説やサイバーパンク作品では、大気中の微粒子や有毒ガスを瞬時に分析する高感度な環境センサーのキーパーツとして名前が登場することがあります。