| 原子量 | 231.04 |
|---|---|
| 分類 | 第7周期 / 第3族 |
| 状態(常温) | solid |
| 発見者 / 年 | ファヤンス、ゲーリング (1913年 / ドイツ) |
放射線を出しながら崩壊し、アクチニウムに変わる性質を持つ極めて珍しい放射性元素です。地球上のウラン鉱石にほんのわずかにしか含まれておらず、日常的な用途はありません。しかしその独特な崩壊のスピードを利用して、海底の泥などの年代を測定する地質学の重要なツールとして静かに貢献しています。
放射線を出して別の元素に変わる崩壊を繰り返す中で、アクチニウムの一つ手前の状態であることから、ギリシャ語で「最初の」や「前の」を意味するプロトが付けられました。まさにアクチニウムの生みの親です。
核分裂の発見で知られる偉大な女性科学者リーゼ・マイトナーと、共同研究者のオットー・ハーンによって長寿命の同位体が発見されました。彼女の卓越した化学的分析力が、この希少な元素の分離を成功させました。
天然のウラン鉱石の中に存在しますが、ウラン300万グラムに対してたった1グラムしか含まれていません。キュリー夫人がラジウムを見つけるよりもさらに困難な、究極の希少性を誇る幻の元素の一つです。
海水中にあるウランが崩壊してプロトアクチニウムになると、水に溶けずに海底の泥に沈殿します。この泥の中の濃度を調べることで、何万年も前の海洋環境や気候変動の歴史を数百年単位の精度で特定できます。
放射能を持つ危険な元素ですが、マイナス271度という絶対零度に近い極低温まで冷やすと、電気抵抗が完全にゼロになる超伝導現象を起こすことが確認されています。基礎物理学の研究対象として興味深い物質です。
他の元素から分離する際、溶液の中でドロドロのゼリー状に固まってしまうなど非常に扱いにくい性質を持ちます。そのため、純粋な金属として取り出すのは熟練の化学者でも嫌がるほどの至難の業です。
過去にイギリスの原子力公社が12年の歳月と莫大な予算をかけ、数十トンの放射性廃棄物から約125グラムだけ抽出したことがあります。市場に出回らないため価格はありませんが、製造コストは天文学的です。
プルトニウムよりも強いアルファ線を出すため、体内に取り込むと肺や骨に蓄積して甚大なダメージを与えます。研究で扱う際も、厳重に密閉された特殊なグローブボックスの中でのみ作業が行われます。
最初に発見された寿命の短い同位体は「ブレビウム(短いという意味)」と名付けられました。その後、寿命の長い別の同位体が見つかった際に、現在のプロトアクチニウムに名前が変更された歴史があります。
ウランと関わりが深く極端に希少であるため、SF作品では地球外生命体が残した古代遺跡の防衛システムを動かす未知の放射性同位体バッテリーの素材など、マニアックな設定として稀に登場します。