| 原子量 | 232.04 |
|---|---|
| 分類 | 第7周期 / 第3族 |
| 状態(常温) | solid |
| 発見者 / 年 | ベルセリウス (1828年 / スウェーデン) |
かつてはキャンプ用のガスランタンの芯を明るく輝かせるために使われていた放射性元素です。ウランに比べて安全性が高く、核のゴミが少ない次世代の原子力発電「トリウム溶融塩炉」のクリーンな燃料として、世界のエネルギー問題の救世主になるかもしれないと注目を集めています。
発見者であるスウェーデンの化学者ベルセリウスが、強力な力を持つ北欧神話の雷神トール(Thor)にちなんで命名しました。同じく神様の名前がついたウランやプルトニウムと並ぶエネルギーの巨神です。
昔のキャンプ用ガスランタンの網目状の芯(マントル)には酸化トリウムが塗られていました。熱を加えると強烈な白い光を放つ性質があり、夜のキャンプ場を明るく照らす必須アイテムでした。
ガラスにトリウムを混ぜると光を曲げる力(屈折率)が飛躍的に高くなるため、昔は高級なカメラレンズに使われていました。しかし放射線でガラスが黄色く変色してしまうため、現在は使われていません。
ウランの代わりにトリウムを燃料とするトリウム溶融塩炉の研究が進んでいます。メルトダウンの危険性が低く、危険なプルトニウムなどの核のゴミも出にくいという、未来のクリーンエネルギーの切り札です。
希少なイメージがありますが、実は地球上にはウランの3倍から4倍も豊富に存在しています。鉛と同じくらいありふれており、世界中で安定して採掘できるため資源の奪い合いが起きにくいメリットがあります。
ウランと違って核分裂の連鎖反応を自分だけで起こすことができないため、核爆弾の材料にすることが非常に困難です。そのため、テロリストに狙われにくい平和利用に特化した原子力燃料と言えます。
レアアースを採掘する際に一緒に大量に掘り出されてしまう厄介者です。放射能があるため処分に莫大なコストがかかり、1グラムの価値どころか、どうやって安全に捨てるかが世界的な問題になっています。
タングステンなどの金属にトリウムを少し混ぜると、高温に耐え電子を放出しやすくなるため、宇宙空間を飛ぶ探査機のイオンエンジンや特殊なレーダーの真空管の材料としてハイテク分野で活躍しています。
トリウム232という同位体は、半分に減るまでに約140億年もかかります。これは宇宙の年齢とほぼ同じ長さであり、このゆっくりとした崩壊を利用して、地球や古い岩石の年齢を測定する年代測定に使われます。
豊富で安全性が高いという現実のポテンシャルから、SF映画やアニメでは、プルトニウムに代わる完全無公害の次世代リアクターや、巨大な空中都市を永遠に浮遊させる夢の動力源として設定に組み込まれます。