| 原子量 | 18.998 |
|---|---|
| 分類 | 第2周期 / 第17族 |
| 状態(常温) | gas |
| 発見者 / 年 | モアッサン (1886年 / フランス) |
元素界の暴れん坊と呼ばれるほど反応性が激しく、あらゆる物質と無理やり結びつこうとする危険な黄緑色の気体です。しかし一度他の元素とガッチリ結びつくと非常に安定し、虫歯予防の歯磨き粉や焦げ付かないフライパンなど、生活を快適にする頼もしい味方に変わります。
鉄を溶かす時に混ぜるとドロドロに流れやすくなる蛍石(フルオライト)という美しい鉱物から発見されたため、ラテン語の流れるという言葉が語源となりました。ブラックライトを当てると幻想的に光る石です。
単体のフッ素ガスはガラスすら溶かしてしまうほどの激しい毒性と腐食性を持ちます。取り出すのがあまりにも難しく、19世紀には単独分離に挑んだ多くの天才化学者たちが、中毒で命を落としたり重傷を負ったりしました。
1886年、フランスの化学者モアッサンが、マイナス50度の極低温で白金(プラチナ)の容器を使うという命がけの実験で、ついに純粋なフッ素の分離に成功しました。この偉業により彼はノーベル化学賞を受賞しています。
フッ素ガスそのものは取り扱いが極めて危険なため、一般には流通しておらず値段がつけられないほど特殊です。しかし、蛍石などの鉱物資源や、加工されたフッ素樹脂であれば、工業製品として比較的安価に取引されています。
フッ素と炭素をガッチリ結びつけたテフロン(フッ素樹脂)は、水も油も弾いて熱にも強いという奇跡の素材です。卵焼きがツルッと滑る焦げ付かないフライパンや、雨を弾く防水アウトドアウェアに欠かせない技術です。
歯科医院で塗ってもらったり歯磨き粉に入っているフッ素は、歯の表面のエナメル質と結びついて酸に溶けにくい頑丈な構造に変化させます。虫歯菌が出す酸から歯を守る、予防歯科の最強のバリアとして大活躍しています。
原子力発電所の燃料となるウランを加工する際、フッ素と結びつけてガス状(六フッ化ウラン)にします。このガスを利用して、燃料になるウランとならないウランを重さの違いで振り分けるという、非常に重要な役割を担っています。
フッ素と炭素からなる特殊な液体(パーフルオロケミカル)は、酸素を大量に溶かし込む性質があります。これを利用して、SF映画のように液体の中で呼吸する実験や、緊急時の人工血液としての医療応用が長年研究されています。
かつて冷蔵庫やエアコンの冷却ガス、スプレーの噴射剤としてフロンガスが世界中で大量に使われていました。しかし、地球を守るオゾン層を破壊してしまうことが判明し、現在では世界中で生産と使用が厳しく制限されています。
フッ素とアンチモンなどを混ぜて作るフルオロアンチモン酸は、硫酸の2000京倍という想像を絶する強さを持つ世界最強の超酸です。ガラスも人間の体も一瞬でドロドロに溶かしてしまうため、テフロンの容器でしか保存できません。