| 原子量 | [227] |
|---|---|
| 分類 | 第7周期 / 第3族 |
| 状態(常温) | solid |
| 発見者 / 年 | ドビエルヌ (1899年 / フランス) |
周期表の下に並ぶ15個の放射性元素グループ「アクチノイド」の先頭に立つ元素です。暗闇で青白く光り、強力な放射線を放ちます。現在、ガン細胞だけをピンポイントで破壊する画期的なアルファ線免疫療法の主役として、世界中の医療現場から熱い期待を集めている次世代の希望の星です。
暗闇の中で自ら青白く光り輝く性質から、ギリシャ語で光線を意味するアクティスが名前の由来となりました。放射線の強さと美しさを兼ね備えた、アクチノイドシリーズのリーダーにふさわしい名前です。
キュリー夫妻の親しい友人であり有能な助手でもあったフランスの化学者ドビエルヌが、ウラン鉱石の残りかすの中から発見しました。キュリー研究所の輝かしい功績を支えた裏方の勝利です。
非常に強力な放射線を放ち、その強さはなんとラジウムの約150倍にも達します。そのため、もし目に見えるほどの塊を置いた場合、周囲の空気を強烈に光らせ、自らの熱で赤熱するほどです。
アクチニウム225という同位体は、体内のがん細胞だけにくっつく抗体と結びつけて注射するアルファ線免疫療法(TAT)の強力な弾丸として、現在最も有望な次世代のがん治療薬として研究されています。
放出するアルファ線は飛ぶ距離が細胞数個分と極めて短いため、がん細胞のド真ん中で爆発させれば、すぐ隣にある正常な細胞をほとんど傷つけずに病巣だけを確実に破壊できるスナイパーになります。
天然にはウラン鉱石にほんのわずかしか存在しないため、医療用のアクチニウムは巨大な加速器で人工的に作られます。極めて製造コストが高く、1グラム換算すると数十億円とも言われる超高価な物質です。
医療用に使われるアクチニウム225は、約10日という半減期を持ちます。短すぎて病院に運ぶ前に消えることもなく、長すぎて体内に放射能が残りすぎることもない、薬として完璧な使い勝手を誇ります。
周期表の一番下、89番から103番までの15個の元素は性質がよく似ているため、先頭のアクチニウムの名前をとってアクチノイドと呼ばれます。ランタノイドの放射性バージョンとも言えるグループです。
天然のアクチニウムはウランが崩壊して生まれるため、ウランが溶け込んでいる海水中にも極めて微量ながら存在しています。海の底の泥を分析することで、海水の流れを調べる研究にも使われます。
光線という名前と強力な放射能を持つことから、宇宙を舞台にしたSF小説では、未知のエイリアンが使う強力な粒子ビーム兵器のエネルギー源や、宇宙船の推進器のコアとしてロマンチックに描かれます。