| 原子量 | 204.38 |
|---|---|
| 分類 | 第6周期 / 第13族 |
| 状態(常温) | solid |
| 発見者 / 年 | クルックス (1861年 / イギリス) |
非常に強い毒性を持ちながら、味も臭いもないという恐ろしい特徴を持つ金属です。かつては殺鼠剤などに広く使われていました。現在では光通信の特殊なガラスや、心臓の血流を調べる医療用の検査薬として、私たちの生活や健康を支える意外な一面も見せています。
イギリスの化学者クルックスが分光器で分析した際、美しい緑色の光の線が見えたことから、ギリシャ語で緑の小枝を意味するタロスと名付けられました。鮮やかな緑色の炎色反応を示します。
水に溶けやすく、味も臭いもしないため、食べ物に混入されても気づくことができません。そのため、アガサ・クリスティの推理小説などで暗殺の小道具として頻繁に登場し恐れられました。
その強力な毒性を利用して、昔はネズミを駆除する殺鼠剤やアリ退治の薬として広く一般に販売されていました。しかし誤飲による事故や犯罪への悪用が相次ぎ、現在では厳しく規制されています。
放射性タリウムを微量に注射すると、心臓の筋肉に集まる性質があります。これを利用して、心筋梗塞や狭心症などの心臓の血流の異常を画像化して診断する重要な医療検査に活躍しています。
ガラスにタリウムを少し混ぜると、光の曲がり具合(屈折率)を自由に調整できるようになります。インターネットの光通信ケーブルや特殊なレンズの性能を引き上げるハイテク素材でもあります。
水銀にタリウムを約8パーセント混ぜると、マイナス60度の超低温でも凍らずに液体のまま保たれます。南極などの極寒地帯で気温を正確に測るための特殊な温度計の材料として使われます。
金属としては珍しいものではなく、1グラム数百円程度と比較的安価です。しかし毒物及び劇物取締法で厳重に管理されているため、一般の人が簡単に入手することは絶対にできません。
タリウム中毒になると、神経が破壊されて激しい痛みに襲われるだけでなく、数週間後に髪の毛がごっそりと抜け落ちるという特有の症状が現れます。これが事件解決の糸口になることもあります。
冷戦時代、アメリカのCIAがキューバのカストロ議長の靴にタリウムを仕込み、彼のトレードマークである髭を抜け落とさせて威信を失墜させようと計画したという有名な都市伝説があります。
摂取してもすぐには症状が出ない遅効性で、風邪と間違われやすいことから、刑事ドラマやミステリー作品において、犯人がアリバイ工作をしながら被害者を追い詰める定番の毒として描かれます。