地球の空気の約21パーセントを占め、私たち人間を含む多くの動物が生きるための呼吸に絶対に欠かせない元素です。物が激しく燃えるのを助ける性質があり、鉄を赤くサビさせる原因でもあります。生命を育みながら物を壊す、強力なエネルギーの源です。
ギリシャ語の酸と生み出すという言葉が語源です。発見された当時は、すべての酸っぱい物質には酸素が含まれていると勘違いされていたため、このような名前が付けられてしまいました。
酸素そのものは燃えませんが、他の物質が燃えるのを強力に助ける助燃性という性質があります。火事に風を送ると勢いが増すのは酸素が供給されるためで、酸素がない宇宙空間ではマッチに火をつけることもできません。
工業用に大量生産されているため、1リットル数円程度と非常に安価です。しかし、不純物のない高純度な医療用酸素は、呼吸器系の病気を抱える患者の命を繋ぐために厳密に管理され、病院で大切に使われています。
はるか上空の成層圏にあるオゾン層は、酸素原子が3つ結びついたオゾンの膜です。太陽から降り注ぐ有害な紫外線を強力にブロックしてくれており、このバリアがないと陸上の生物は生きていくことができません。
人間の血液が赤いのは、赤血球に含まれるヘモグロビンという鉄分を含んだタンパク質が、肺で酸素と結びついて全身に運んでいるからです。酸素を手放した後の血液は、少し暗い赤紫色に変化して心臓に戻ります。
宇宙空間には酸素がないため、ロケットは燃料と一緒にマイナス183度に冷やした液体酸素を積んで飛んでいきます。燃料と液体酸素を激しく混ぜ合わせて爆発的に燃やすことで、地球の重力を振り切る推進力を得ます。
空気中の気体というイメージが強いですが、実は地球の地殻(表面の岩石)の重さの約半分は酸素です。ケイ素やアルミニウムなどの金属とガッチリ結びついて酸化物となり、足元の地面や岩の大部分を構成しています。
大昔の地球には酸素がありませんでした。光合成を行う微生物(シアノバクテリア)が大量の酸素を吐き出した時、当時の酸素を必要としない生物にとっては、体を強力にサビさせる猛毒のガスによる大環境破壊だったのです。
雷が落ちた後やコピー機の近くで感じる生臭いような匂いは、電気のエネルギーによって空気中の酸素が変化して発生したオゾンの匂いです。実はオゾンには強力な殺菌作用があり、水道水の浄化などにも活用されています。
SF作品では、人が住めない火星などの星に苔や植物の種をまき、何百年もかけて酸素を生み出させて地球のような環境に改造するテラフォーミングという壮大な計画が頻繁に描かれます。人類の宇宙進出の永遠のテーマです。