プラチナの愛称でジュエリーとして愛される美しい貴金属ですが、実は自動車の排気ガスを浄化する触媒など、工業用途がメインの働き者です。熱や薬品に極めて強く、永遠に輝きを失いません。水素社会を支える燃料電池にも不可欠な、未来の地球環境を救う鍵を握る元素です。
南米を探検したスペイン人が、銀に似ているけれど溶かせない謎の金属を発見し、小さな銀を意味するプラチナと名付けました。当時は加工できず、邪魔な石として川に捨てられていました。
プラチナ最大の用途は自動車の触媒です。排気ガスに含まれる有毒な一酸化炭素などを、プラチナを通すことで瞬時に無害な水や二酸化炭素に変える魔法のような力を持っています。
水素と酸素から電気を作り出す燃料電池の電極には大量のプラチナが使われます。プラチナが化学反応を強力に促すおかげで、水しか出さない究極のエコカーが街を走ることができます。
シスプラチンというプラチナを含む化合物は、細胞の分裂を止める働きがあり、抗がん剤として世界中の医療現場で使われています。偶然の実験結果から発見された奇跡の薬です。
ハクキンカイロという長持ちする携帯カイロは、ベンジンという燃料がプラチナ触媒に触れて安全に発熱する仕組みです。火をつけて燃やしているわけではない、化学反応の優しい熱です。
汗や温泉の成分に触れても絶対に黒ずんだり錆びたりしません。その永遠に変わらない純白の輝きから、結婚指輪などの高級ジュエリーとして日本では特に深く愛されています。
地球上の存在量は金より少ないのに、最近は金よりも1グラムの価格が安いことがよくあります。プラチナが工業用に依存しており、自動車産業の動向に価格が左右されやすいためです。
地球の表面にあるプラチナや金の多くは、地球が誕生したずっと後に、宇宙から飛来した大量の隕石によってもたらされたと考えられています。星の衝突から生まれた宇宙の宝物です。
通常の酸には全く溶けませんが、濃塩酸と濃硝酸を混ぜた王水という極めて強力な液体にだけは溶かすことができます。錬金術師たちが夢見た、貴金属を溶かす究極の魔法の液体です。
生体になじみやすく電気信号を正確に伝える性質から、SFアニメなどでは人間の脳と機械を繋ぐサイボーグの人工神経ファイバーや、超精密な電子頭脳の配線材料としてよく登場します。