あらゆる酸に溶けず、絶対に錆びない最強の耐食性を持つ金属。車のエンジンの過酷な爆発に耐える点火プラグの先端に使われ、私たちのドライブを支えています。実は恐竜を絶滅させた巨大隕石と一緒に宇宙から大量に降ってきたという、壮大な宇宙のロマンを秘めたレアメタルです。
化合物が虹のように非常に多彩で美しい色を示すことから、ギリシャ神話に登場する虹の女神イリスにちなんで名付けられました。無骨な最強金属には少し似合わないロマンチックな名前です。
約6600万年前の地層から大量のイリジウムが発見されています。イリジウムは地球の表面には少なく隕石に多いため、巨大隕石が衝突して恐竜が絶滅した決定的な証拠となりました。
自動車のエンジン内で、1分間に何千回も高温の火花を散らす点火プラグの先端に使われます。熱や電気のダメージに極めて強いため、車の燃費とパワーを限界まで引き上げてくれます。
かつて世界の長さと重さの基準だったメートル原器やキログラム原器は、プラチナとイリジウムの合金で作られました。絶対に錆びず温度で大きさが変わりにくい究極の安定性が選ばれた理由です。
金やプラチナすらドロドロに溶かしてしまう最強の酸である王水に入れても、イリジウムは全く溶けません。あらゆる化学薬品を弾き返す、地球上で最も腐食に強い金属と言われています。
地球上のどこでも繋がる衛星電話サービスイリジウムは、当初77個の人工衛星を打ち上げる計画だったため、原子番号77番のこの元素の名前がそのままプロジェクト名になりました。
地球の地殻には金の40分の1ほどしか存在しないと言われる超希少金属です。スマホの画面を作るための特殊な部品などにも使われ、需要が高いため1グラム数千円から数万円で取引されます。
密度はオスミウムに次いで第2位。非常に硬いのですが、同時にガラスのように脆い性質があるため、叩いて形を変えるのが困難です。溶融温度も高く、職人泣かせの気難しい金属です。
絶対にすり減らず錆びない性質を活かし、船舶が方角を知るための精密な磁気コンパスの軸受けに使われてきました。大航海時代から現代まで、海を渡る人々の道しるべを支えています。
隕石に含まれる宇宙由来のイメージと、あらゆる物質への絶対的な耐性から、SF小説などでは取り扱いが極めて危険な反物質を安全に保管するための特殊コンテナの素材としてよく描かれます。