ジルコニウムと双子のように性質が似ていますが、中性子を激しく吸収するという全く逆の顔を持つ金属です。原子力発電所でウランの暴走を止める制御棒として絶対の信頼を得ています。また、パソコンの頭脳であるCPUの極小トランジスタの性能を飛躍的に高める魔法の材料として、現代のIT社会に欠かせません。
発見されたデンマークの首都コペンハーゲンのラテン語名ハフニアにちなんで名付けられました。ノーベル賞学者ニールス・ボーアの研究所で発見された、北欧生まれのエリート元素です。
古い鉱石から化学反応で見つけるのが難しかったため、X線を使って原子の中の電子の動きを分析するという当時最先端の物理学の手法を使って、見事に隠れていたハフニウムを発見しました。
どこを掘っても必ずジルコニウムの鉱石に数パーセント混ざって見つかります。化学的な性質が地球上のどの元素同士よりも似ているため、この2つを引き離すのはまさに至難の業でした。
双子のジルコニウムは中性子を全く吸収しませんが、ハフニウムは中性子を何百倍も強力に吸収します。そのため、原子力発電所の核分裂を安全にストップさせる制御棒の材料として大活躍しています。
現代の極小の半導体を作るうえで、ハフニウムの化合物は電流の漏れを防ぐ最強の絶縁膜になります。インテルなどの最新のCPUには必ず使われており、IT機器の進化を根本から支えています。
炭素と結びついた炭化ハフニウムは、約3900度という想像を絶する超高温にも耐えられる地球上トップクラスの耐熱素材です。宇宙船が大気圏に再突入する際の過酷な熱を防ぐシールドになります。
ジルコニウムと分離するのに莫大な手間とコストがかかるため、1グラム数百円から千円程度で取引される高価な金属です。原子炉の安全と最新スマホのために世界中で需要が高まっています。
電子を放出しやすい性質があるため、空気を超高温のプラズマ状態にして分厚い鉄板をスパッと切り裂くプラズマ切断機の電極パーツとして、工場の最前線で激しい火花を散らしています。
ルテチウムがハフニウムに変化する割合を調べることで、アポロ計画で持ち帰った月の石や火星の隕石がいつマグマから固まったのかを正確に特定し、太陽系の歴史の謎を解き明かしています。
ハフニウムの特殊な同位体にX線を当てると凄まじいガンマ線を出すという理論から、核兵器に代わるクリーンで強力な爆弾が作れると噂されましたが、現実には不可能だと証明された騒動がありました。