| 原子量 | 174.97 |
|---|---|
| 分類 | 第6周期 / 第3族 |
| 状態(常温) | solid |
| 発見者 / 年 | ウルバンら (1907年 / フランス) |
ランタノイドシリーズの最後を飾る、グループ内で最も硬くて重い希少な金属です。他のレアアースから分離するのが極めて難しいため、金よりも高価な超高級素材として知られています。がんの早期発見に欠かせないPET検査の特殊なクリスタルに使われるなど、最先端医療の現場で命を救う光を放っています。
発見者ウルバンの祖国フランスの首都パリの古いラテン語名ルテティアが名前の由来です。華やかなパリのルーツを持つ、ランタノイドの最後を飾るにふさわしい美しい名前です。
イッテルビウムの中にまだ未知の元素が隠れていると信じたウルバンは、なんと1万5千回もの気の遠くなるような結晶化を繰り返し、ついにルテチウムを分離することに成功しました。
分離が地球上でトップクラスに難しいため、1グラム数千円から数万円という金以上の価格で取引されます。そのため、ルテチウムでしかできない最先端の医療や研究にしか使われません。
ルテチウムを含んだ特殊なクリスタルは、放射線を受けると一瞬だけ強く光る性質があります。これを利用して、体内のガン細胞の正確な位置を特定するPET検査装置に使われます。
最近ではルテチウムの放射性同位体を使った画期的なガン治療法が注目されています。ガン細胞だけにひっついて、至近距離から放射線を当てて破壊するという次世代の医療技術です。
ルテチウムが非常に長い年月をかけてハフニウムに変化する性質を利用して、隕石がいつできたかを測定します。太陽系が誕生した時の記憶を読み解く、天文学の重要な時計です。
周期表の下に並ぶランタノイドの15個の元素の中で、最も原子のサイズが小さく、密度が高くて硬いという特徴を持っています。これをランタノイド収縮と呼び、化学の面白い法則です。
実は石油の精製工場でも活躍しています。ドロドロの重い原油を分解して、使いやすいガソリンや軽油にするための強力な触媒として、目に見えないところで私たちの車社会を支えています。
フランスのウルバンと、オーストリアのヴェルスバッハがほぼ同時に発見したため、どちらが真の発見者かで大論争になりました。最終的にウルバンに軍配が上がり、現在の名前が定着しました。
その圧倒的な価格の高さと抽出の困難さから、SF小説などでは宇宙船のワープドライブを起動するための幻のレアメタルや、超富裕層しか手に入れられない究極のエネルギーとして描かれます。