| 原子量 | 173.05 |
|---|---|
| 分類 | 第6周期 / 第3族 |
| 状態(常温) | solid |
| 発見者 / 年 | マリニャック (1878年 / スイス) |
強い圧力をかけると電気を通しにくくなる性質を利用して、爆発などの凄まじい衝撃を測る特殊なセンサーに使われます。現在は、宇宙誕生から現在まで1秒も狂わない光格子時計の要として、世界の時間のルールを書き換えようとしています。時間と圧力を支配する次世代のスーパー元素です。
スウェーデンのイッテルビー村の採石場から名付けられた四兄弟元素の最後の一つです。スイスの化学者マリニャックが、エルビウムの不純物だと思われていた物質をさらに細かく分けて、未知の元素であることを突き止めました。
イッテルビウムは、強い圧力を受けると電気抵抗が急激に跳ね上がるという極めて特殊な性質を持ちます。これを利用して、爆薬の実験や地下での発破作業など、他のセンサーが壊れてしまうような凄まじい圧力を一瞬で測定します。
日本の研究者が発明した光格子時計では、イッテルビウム原子をレーザーの網目に閉じ込めて時間を測ります。現在のセシウム原子時計の100倍も正確で、もし宇宙が誕生した時から動かしていても現在まで1秒も狂わないという驚異の精度です。
現在、世界の1秒の長さはセシウム原子によって決められていますが、あまりにも正確すぎるイッテルビウムやストロンチウムの光格子時計が完成したため、近い将来、人類の1秒の定義がこの元素によって新しく書き換えられる予定です。
光ファイバーにイッテルビウムを添加して作るファイバーレーザーは、非常に強力なパワーを安定して出し続けることができます。そのため、分厚い鉄板を一瞬で焼き切ったり精密に溶接したりする、強力な工業用レーザーとして大活躍しています。
サビに強いステンレス鋼を作る際、イッテルビウムをわずかに添加すると、金属の結晶がより細かく強く結びつき、強度や耐久性がさらに向上します。過酷な環境で使われる特殊な合金の隠し味として利用されています。
凄まじい圧力を電気信号として正確に測定できる性質を応用して、地中の奥深くにセンサーを埋め込み、地震が発生した時のプレートのひずみや衝撃の強さを計測して防災に役立てようという最先端の研究も行われています。
歯医者さんで虫歯を削った後に埋める白いプラスチック(レジン)の中に、イッテルビウムの化合物を混ぜることがあります。強度を上げるだけでなく、レントゲンを撮った時に詰め物の部分が白く綺麗に写るようにするための工夫です。
分離が難しいため1グラム数百円から数千円とレアアースの中では少し高価です。しかし、次世代の光格子時計や強力なファイバーレーザーなど、最先端の物理学や工業技術の壁を突破するためのキーマテリアルとして投資が加速しています。
人類史上最も正確な時計を作り出し、相対性理論による時間の遅れさえも日常的に感知できるほどの精度を持つため、SF作品ではタイムマシンや超光速エンジンの時間軸を精密に補正する制御コアとしてイッテルビウムがよく登場します。