原子番号: 69

Tm

ツリウム
Thulium
原子量 168.93
分類 第6周期 / 第3族
状態(常温) solid
発見者 / 年 クレーベ (1879年 / スウェーデン)

特徴・解説

ランタノイドの中で(放射性のプロメチウムを除いて)最も地球上に存在量が少ない、非常にレアな元素です。ユーロ紙幣の偽造防止インクに混ぜられてブラックライトで青く光るほか、電源のいらない携帯型のX線発生装置として医療の届かない地域で活躍しています。希少だからこそ特別な場所で輝くエリート金属です。

❄️ 北欧の伝説の地トゥーレ

古代ギリシャやローマの時代に、世界の北の果てにあると信じられていた伝説の地トゥーレ(Thule)が名前の語源です。スウェーデンの化学者クレーベが、北欧の神秘的なイメージを重ね合わせて名付けました。

🌍 地球上で最も少ないレアアース

自然界に安定して存在するランタノイド14種類の中で、最も地球上に少ない元素です。他のレアアースの鉱石の中にほんのわずかだけ混ざっているのを、何度も何度も化学反応を繰り返して気の遠くなるような苦労で抽出します。

💶 ユーロ紙幣を守る青い光

ツリウムの化合物は、ブラックライト(紫外線)を当てると非常に美しく鮮やかな青色の光を放ちます。この性質を利用して、ヨーロッパのユーロ紙幣の偽造防止用の特殊な蛍光インクとして使われており、経済の信用を守っています。

🩻 電源がいらない持ち運べるX線

原子炉でツリウムに中性子を当てて人工的に作ったツリウム170という物質は、電気を使わずに自らX線を出し続けます。これを利用して、コンセントがない発展途上国や、狭い配管の中を検査する携帯型のX線カメラの光源として使われます。

🛰️ 宇宙空間のX線検査機

電源がいらないという最大のメリットを活かし、宇宙ステーションや長期の宇宙探査ミッションにおいて、機械の内部のヒビ割れなどを調べるための超小型で軽量な非破壊検査システムの放射線源としても研究が進められています。

🏥 レーザーメスとしての活躍

ツリウムを含んだ特殊なレーザーは、組織を切り取る能力と血を止める能力のバランスが非常に良く、前立腺肥大症の手術などで患者の体への負担を減らす最新の医療用レーザーメスとして、世界中の病院で普及し始めています。

📡 電子レンジのマイクロ波を制御

ツリウムを混ぜた特殊なセラミック(フェライト)は、レーダーや電子レンジなどに使われるマイクロ波という特殊な電波の向きや強さを精密にコントロールするための部品として、通信や電子機器の見えないところで活躍しています。

💰 1グラムの価格が非常に高価

地球上に極端に少ないうえに分離が困難なため、純粋なツリウムの金属は1グラム数千円から数万円もするほど非常に高価です。そのため、本当にツリウムでしかできない特殊なハイテク分野にしか使われません。

🗑️ ゴミの中に埋もれていた発見

発見者のクレーベは、他の化学者がエルビウムなどの元素を取り出した後にいらない不純物として捨てていた液体の残りかすを根気よく分析し、そこにツリウムという全く新しい元素が隠れているのを見つけ出しました。

🪄 ファンタジーの魔法の青い発光

伝説の地という名前の由来と、地球上で最も希少でブラックライトで青く発光するという性質から、ファンタジー作品では古代文明の遺跡の扉を開く魔法の鍵や、夜にだけ青く光る秘密のインクの成分としてロマンチックに描かれます。