| 原子量 | 167.26 |
|---|---|
| 分類 | 第6周期 / 第3族 |
| 状態(常温) | solid |
| 発見者 / 年 | モサンデル (1843年 / スウェーデン) |
ガラスに混ぜると可愛いピンク色になる元素ですが、最大の活躍の場はインターネットの通信です。海底を這う光ファイバーケーブルの中で、弱まった光の信号を再び強く増幅させる魔法のような役割を担っています。私たちの快適なスマホ生活と世界中の情報のやり取りは、この元素のおかげで成り立っています。
スウェーデンのイッテルビーという村の採石場から見つかった鉱石が名前の由来です。イットリウム、イッテルビウム、テルビウム、そしてこのエルビウムは、すべて同じ村の名前から名付けられた奇跡の四兄弟元素です。
インターネットのデータを光で伝える光ファイバーは、長距離を走ると光が弱まってしまいます。しかし、ケーブルの一部にエルビウムを混ぜておき、そこに別のレーザーを当てると、弱った信号が一気に何千倍にも増幅されるのです。
エルビウム添加光ファイバー増幅器(EDFA)というこの技術が発明されるまでは、光を一度電気に直してから増幅し、また光に戻すという面倒な作業をしていました。この大発明が世界のネット通信を爆発的に速くしました。
エルビウムの化合物をガラスや人工宝石に混ぜると、非常に美しく鮮やかなローズピンク色になります。安いアクセサリーのピンク色の石や、少しピンクがかったおしゃれなサングラスのレンズの着色料として身近に使われています。
エルビウムを含んだレーザー(Er:YAGレーザー)は水に非常によく吸収されます。これを利用して、歯の水分を瞬時に蒸発させながら虫歯の部分だけを弾き飛ばすことができるため、削る時の痛みや振動が少ない最先端の歯科治療に使われます。
プラセオジムなどと同様に、エルビウムを混ぜた特殊なガラスは特定の波長の強い光だけを吸収する性質があります。溶接作業などの激しい光から職人の目を守るための安全ゴーグルのフィルターガラスとしても重宝されています。
バナジウムなどの硬くて加工しにくい金属にエルビウムを少し添加すると、金属の性質が変化して柔らかくなり、叩いたり曲げたりする加工がずっと楽になります。工業分野での隠し味的なスパイスとしても活躍しています。
光通信の増幅器に絶対に欠かせない元素であるため、世界中から安定した需要があります。分離が難しいためレアアースの中では少し高価ですが、私たちがネット動画をサクサク見られるのはこの元素への投資のおかげです。
特定の光の波長をきれいに吸収してピンク色になる性質を利用して、カメラのレンズに取り付ける写真用の光学フィルターとしても使われます。風景の色合いを調整したり、余計な光をカットして美しい写真を撮るのに役立ちます。
光ファイバーの光を直接増幅するという特徴から、サイバーパンクSFの世界では、地球全体を覆う超高速のグローバルネットワークや、脳に直接データを送り込む光神経回路のコア素材としてエルビウムが設定に登場します。