| 原子量 | 131.29 |
|---|---|
| 分類 | 第5周期 / 第18族 |
| 状態(常温) | gas |
| 発見者 / 年 | ラムゼー、トラバース (1898年 / イギリス) |
空気中にごくわずかしか存在しない最も重い安定した希ガスです。電気を通すと太陽の光に極めて近い強烈な白い光を放つため、車のヘッドライトや映画館のプロジェクターとして暗闇を明るく照らします。麻酔薬や宇宙船のイオンエンジンなど、幅広い分野で活躍する非常に有能な気体です。
ギリシャ語で奇妙なものやよそ者を意味するクセノンが語源です。液化空気を何度も蒸発させて最後に残ったほんのわずかなガスだったため、なかなか姿を見せない奇妙な存在として名付けられました。
キセノンガスを封入したランプに高い電圧をかけると、太陽の光の成分に非常に近い、強烈な真っ白い光を放ちます。カメラのストロボフラッシュのピカッと光る眩しい光の正体はまさにこれです。
巨大なスクリーンに鮮明な映像を映し出す映画館のプロジェクターには、強力なキセノンランプが使われています。色が非常に自然に見えるため、大迫力の映画体験を裏で支える重要な光源です。
探査機はやぶさなど、長期間宇宙を旅する探査機のエンジンの燃料として使われます。キセノンを電気でイオン化して勢いよく噴射することで、少ない燃料でどこまでも加速し続けることができます。
キセノンガスを吸い込むと、脳の神経伝達が抑えられて麻酔効果を発揮します。体内で全く化学反応を起こさないため副作用が非常に少なく、すぐに目が覚めるという理想的な医療用麻酔として研究されています。
絶対に他の元素と結びつかないと考えられていた希ガスですが、1962年にキセノンとフッ素の化合物が初めて人工的に作られ、化学の世界の常識が大きく覆される歴史的な大事件となりました。
地球の空気中にわずか千万分の1しか含まれておらず、大量の空気を極低温で液化して抽出するため莫大なコストがかかります。そのため1リットルあたり数千円という、気体としては破格の高値で取引されます。
宇宙の質量の大部分を占める謎の暗黒物質(ダークマター)を見つけるため、地下深くの実験施設に大量の液体キセノンを満たした巨大なタンクが設置され、未知の粒子がぶつかる瞬間を待ち構えています。
少し前の高級車に多く採用されていた、非常に明るくて少し青白い光を放つHIDヘッドライトの中にもキセノンガスが封入されており、夜道を安全に明るく照らし出す高級装備として人気を集めました。
イオンエンジンの現実の実績があることから、SF映画やアニメの宇宙戦艦が航行するための現実的でカッコいい燃料として、キセノンガスやキセノン推進器という単語が頻繁に設定に盛り込まれます。