| 原子量 | 126.90 |
|---|---|
| 分類 | 第5周期 / 第17族 |
| 状態(常温) | solid |
| 発見者 / 年 | クルトワ (1811年 / フランス) |
うがい薬や傷口の消毒液に使われるおなじみの元素で、昆布やワカメなどの海藻に大量に含まれています。人間の成長を促す甲状腺ホルモンを作るために絶対に欠かせない必須ミネラルです。固体から一気に気体になる昇華という性質を持ち、鮮やかな紫色の煙を上げる視覚的にも面白いハロゲンです。
ギリシャ語でスミレ色を意味するヨエデスが名前の由来です。ヨウ素の黒っぽい結晶を熱すると、液体にならずに一気に気体になり、非常に美しく鮮やかな紫色の煙が立ち上ることから名付けられました。
1811年、フランスの化学者クルトワが、火薬の材料を作るために海藻の灰に硫酸をかけたところ、偶然にも紫色の煙が発生してヨウ素を発見しました。海からの思いがけない贈り物だったのです。
ヨウ素には細菌やウイルスのタンパク質を破壊して死滅させる強力な殺菌作用があります。手術の前の皮膚の消毒や、家庭用のうがい薬など、世界中の医療現場で感染症から人を守る盾になっています。
ヨウ素は昆布やワカメなどの海藻にたっぷり含まれています。海藻を日常的によく食べる日本人は、世界でもトップクラスのヨウ素摂取量を誇り、健康的な食生活を支える重要なミネラル源になっています。
人間の喉仏の近くにある甲状腺という器官で、成長や代謝をコントロールするホルモンを作るためにヨウ素が絶対に必要です。不足すると発育不良や甲状腺腫という重篤な病気を引き起こしてしまいます。
ドライアイスが直接二酸化炭素のガスになるように、ヨウ素も固体から一気に気体に変わる昇華という性質を持ちます。紫色のガスは非常に重く、ビーカーの底にゆっくりと溜まっていく姿は幻想的です。
原子力事故の際、放射能を持つヨウ素が放出されることがあります。これが甲状腺に集まってガンになるのを防ぐため、前もって安全なヨウ素剤を飲み、甲状腺をヨウ素で満杯にしておくという防護策があります。
ヨウ素の気体は、人間の指紋に含まれる油分や汗に溶け込んで茶色く変色する性質があります。これを利用して、紙や木材に残された目に見えない指紋を鮮明に浮かび上がらせる鑑識捜査に使われます。
実は日本は、チリに次ぐ世界第2位のヨウ素生産国です。千葉県などの地下深くから汲み上げる古い海水に大量に含まれており、世界に輸出される貴重な国産資源で、価格も1グラム数円と安価です。
テレビやスマホの液晶ディスプレイには、特定の方向の光だけを通す偏光板という黒いフィルムが使われています。このフィルムの性能を高めるために、ヨウ素の化合物が非常に重要な働きをしています。