| 原子量 | 118.71 |
|---|---|
| 分類 | 第5周期 / 第14族 |
| 状態(常温) | solid |
| 発見者 / 年 | 古代から知られる (古代 / 不明) |
鉄の表面にメッキすることでサビを防ぐブリキの缶詰でおなじみの金属です。また、電子部品を基板にくっつけるはんだの主成分でもあり、古代の青銅器時代から現代のIT機器まで、人類の文明の部品と部品を繋ぎ止める重要な役割を果たし続けてきました。
元素記号のSnは、ラテン語でスズを意味するスタヌムに由来します。金、銀、銅、鉄、鉛などと並んで、人類が紀元前の古代から製錬して使いこなしてきた、歴史の古い由緒ある金属の一つです。
柔らかい銅にスズを少し混ぜると、非常に硬くて丈夫な青銅(ブロンズ)になります。この合金の発明により、人類は石器から青銅器時代へと大飛躍を遂げ、強力な武器や農具を生み出しました。
鉄の表面にサビに強いスズを薄くメッキしたものをブリキと呼びます。19世紀にブリキを使った缶詰が発明されたことで、食べ物を長期間保存して遠くまで運べるようになり、食の世界が変わりました。
電子部品を基板に接着するはんだは、昔はスズと鉛の合金でした。しかし鉛の毒性が問題になり、現在は鉛を使わない無鉛はんだ(スズが主成分)が普及し、世界中のスマホやパソコンを繋いでいます。
スズをマイナス13度以下の極寒の場所に放置すると、性質が変わって灰色の粉になりボロボロに崩れてしまいます。これをスズペストと呼び、ナポレオン軍の軍服のボタンが冬のロシアで砕け散ったという伝説があります。
純度の高いスズの棒を曲げると、金属の結晶がこすれ合ってピキピキと高い音が鳴ります。これをスズ鳴り(錫鳴り)と呼び、インジウムと同じように金属が泣いているような不思議な現象を体験できます。
毒性が低くサビにくいため、古くから酒器や食器として重宝されてきました。スズのコップでビールを飲むと、金属の表面の細かい凹凸のおかげで泡がクリーミーになり、雑味が抜けて美味しくなると言われます。
窓ガラスや鏡などの真っ平らなガラスを大量生産するフロート法という技術では、プールに溶かしたスズの上にドロドロのガラスを浮かべて平らに伸ばします。スズの溶けやすさを利用した見事な工業技術です。
鉄や銅と同じように世界中で広く使われるベースメタルであり、価格は1グラムあたり数円程度と非常に安価です。日用品から最先端の電子機器まで、見えないところで社会を支える大黒柱です。
童話オズの魔法使いに登場する心を持たないブリキの木こりや、アンデルセン童話のしっかり者のスズの兵隊など、スズ(ブリキ)は少し不器用だけど真っ直ぐなキャラクターとしてファンタジーの世界で愛されています。