金属と非金属の中間の性質を持つメタロイドと呼ばれる元素です。植物の成長には必須ですが、人間には微量で十分とされています。耐熱ガラスや強力な磁石の材料、さらにはゴキブリ退治など、身近な場所で意外な活躍を見せる万能プレーヤーです。
古くから知られていた鉱物「ホウ砂」を意味するアラビア語の「buraq」やペルシャ語の「burah」が、ホウ素(Boron)の由来です。古代からガラスのツヤ出しや金細工の接着剤として使われていました。
純粋な単体のホウ素は数百円ほどしますが、化合物のホウ酸粉末などは非常に安価で、1グラム数円程度で薬局でも手軽に買うことができます。日用品や実験材料としてとても身近な存在です。
洗濯のり(PVA)にホウ砂の水溶液を混ぜると、化学反応で分子同士が網目状に結びつき、子供が大好きなドロドロの「スライム」が完成します。学校の理科実験や夏休みの工作でおなじみの化学反応ですね。
ガラスにホウ素を混ぜて作った「ホウケイ酸ガラス」は、熱による膨張が少なくなるため急激な温度変化に強くなります。理科室のビーカーや、家庭用のオーブン用耐熱皿などに幅広く使われています。
ネオジム、鉄、そしてホウ素を絶妙なバランスで組み合わせることで、現在実用化されている中で世界最強の磁力を持つ「ネオジム磁石」が生み出されました。スマホのバイブレーション部品などにも入っています。
ホウ素が不足すると、植物は細胞壁をうまく作れなくなり、根や新芽の成長が止まって枯れてしまいます。そのため、農業で使う肥料の微量要素として欠かせない成分として大切に配合されています。
ホウ酸と玉ねぎなどを混ぜた「ホウ酸団子」は、ゴキブリが食べると脱水症状を起こす性質があるため、安価で効果的な駆除剤として昔から使われています。人間には安全性が高いため家庭でも安心です。
星の中の核融合では作られず、宇宙空間を飛ぶ「宇宙線」が炭素などの別の原子に激突して割れることで生み出されるという、少し特殊な生まれの元素です。そのため宇宙全体での存在量は少なめです。
ホウ素の化合物である過ホウ酸ナトリウムなどは、水に溶けると酸素を出して漂白作用を発揮します。そのため、酸素系漂白剤や衣料用洗剤に配合され、衣服のシミや汚れをきれいに白く落としてくれます。
ホウ素には中性子をよく吸収して放射線を防ぐ性質があります。そのため、現実の原子炉の制御棒に使われたり、SF作品における宇宙船の放射線遮蔽材として設定に盛り込まれたりと、防御の要として活躍します。