自分の体積の約900倍もの水素を吸収できる不思議な性質を持つ金属です。虫歯の治療で被せる銀歯(金銀パラジウム合金)としておなじみですが、最大の用途は自動車の排気ガスを綺麗にする触媒であり、ロジウムやプラチナと並んで環境保護に欠かせません。
発見されたばかりの小惑星パラスにちなんで名付けられました。パラス自体もギリシャ神話の知恵と戦いの女神パラス・アテナに由来しており、宇宙と神話のロマンを併せ持つ名前です。
パラジウム最大の魔法は、自分の体積の900倍にもなる大量の水素ガスを内部に吸い込む力です。次世代エネルギーである水素を安全に運んだり貯蔵したりする技術の鍵として期待されています。
日本の保険診療で虫歯を削った後に被せる銀歯は、金と銀にパラジウムを混ぜた合金で作られています。加工しやすさと適度な硬さを兼ね備え、日本人の口の中の平和を長年守り続けてきました。
ロジウムなどと同じく、自動車の排気ガスに含まれる有害物質を無害なものに変える触媒として活躍しています。世界的な環境規制の強化によって需要が爆発的に伸びている重要な元素です。
主な産出国がロシアや南アフリカに偏っているため、国際情勢の影響を強く受けます。一時期はプラチナの価格を逆転して1グラム1万円近くに高騰したこともある、相場が激しく動く貴金属です。
金にパラジウムを混ぜると、美しい銀白色に輝くホワイトゴールドという合金になります。プラチナよりも軽くて硬いため、結婚指輪や高級時計のケースなど、ジュエリーの世界でも大人気です。
発見者のウォラストンは、新しい金属を発見した際、自分の名前を伏せて怪しいチラシを配り、宝石店で匿名販売して世間の反応を楽しむという、少し変わったプロモーションを行いました。
1980年代、パラジウムの電極に電気を流すと常温で核融合が起きるという発表があり世界中が大騒ぎになりました。結局は実験のミスだと判明しましたが、科学史に残る大騒動でした。
銀歯として広く使われていますが、長年唾液にさらされると少しずつ金属イオンが溶け出し、それが金属アレルギーの原因になることがあります。そのため近年はセラミック治療も増えています。
映画アイアンマンで主人公の胸に埋め込まれた小型のアーク・リアクター。その初期型の動力源となるコアの素材にはパラジウムが使われており、使用に伴い血液に毒素が回るという設定でした。