プラチナの仲間に属する貴金属で、硬くて摩擦に強いため、高級万年筆のペン先や電気の接点などに使われます。近年ではパソコンのハードディスクの記録密度を劇的に高める魔法の粉として大活躍しており、デジタル社会の膨大なデータを小さな円盤に保存するための立役者となっています。
ロシアのウラル山脈で見つかった白金の鉱石から発見されたため、ロシアのラテン語名ルテニアが語源となりました。ロシアという大国にちなんで名付けられた唯一の元素です。
ルテニウムとオスミウムの合金は非常に硬く、紙に何度もこすりつけてもすり減りません。そのため、一生モノと呼ばれる何万円もする高級な万年筆のペン先の丸い部分に使われます。
2000年代、パソコンのハードディスクの磁気ディスクにルテニウムをごく薄く塗る技術が発明され、保存できるデータ量がなんと一気に4倍に跳ね上がりました。別名ピクシーダストと呼ばれます。
宝飾品として人気のプラチナは、純度100パーセントだと柔らかすぎて傷がついてしまいます。そこでルテニウムを少し混ぜることで、美しさを保ったまま傷つきにくい硬いアクセサリーになります。
ルテニウムの化合物は、人間の汗や皮脂の成分と反応して黒く変色する性質があります。これを利用して、犯罪現場に残された目に見えない指紋を鮮やかに浮かび上がらせる鑑識捜査に使われます。
金属のルテニウムは安全ですが、四酸化ルテニウムという気体になると、オゾンとニンニクが混ざったような強烈な悪臭を放ちます。吸い込むと呼吸器を破壊する猛毒なので、取り扱いは厳重注意です。
植物の光合成を人工的に再現し、太陽の光と水からクリーンなエネルギーを作り出す夢の技術。その反応をスムーズに進めるための強力な触媒として、ルテニウムの化合物が世界中で研究されています。
プラチナ鉱石の不純物としてわずかしか採れない非常にレアな貴金属です。ハードディスクなどのIT需要に価格が左右されやすく、1グラム数千円程度で取引されるため投資の対象にもなります。
非常に高い温度でも溶けず、強度を保つことができるため、ジェットエンジンのタービンブレードに使われる特殊な耐熱合金に添加され、空の安全とエンジンの燃費向上に貢献しています。
デジタルデータを大量に保存できる性質から、サイバーパンクSF作品などでは、国家機密を保存したルテニウム製の特殊な記憶メディアが、マフィアやハッカーたちの争奪戦の的になる設定があります。