チタンなどと合金にすると極低温で電気抵抗がゼロになる超伝導磁石を作り出す、現代の最先端医療や交通に不可欠な金属です。MRIやリニアモーターカーを強力な磁力で動かしています。かつては別の名前で呼ばれ、長年化学者を悩ませた複雑な歴史を持つミステリアスな一面もあります。
ギリシャ神話に登場する悲劇の王女ニオベが名前の由来です。彼女はタンタルという王の娘であり、実際のニオブもタンタルという元素と常に一緒に鉱石に含まれていることから名付けられました。
アメリカで発見された当初はコロンビウムという名前で呼ばれていました。しかしヨーロッパでニオブと名付けられ、約150年もの間、国によって呼び方が違うという大混乱が続いたのです。
ニオブとチタンの合金をマイナス269度まで冷やすと、強力な超伝導磁石になります。この凄まじい磁力を使って、リニアモーターカーを車体ごと浮かせ、猛スピードで前へ押し出しています。
病院にあるMRI(磁気共鳴画像装置)の巨大なドーナツ型の機械の中にも、ニオブチタン合金の超伝導磁石が入っています。強力な磁力で人間の体内の水分を揺さぶり、鮮明な画像を撮影します。
汗に溶け出さず金属アレルギーを全く起こさないため、ピアスや指輪などのアクセサリー素材として人気があります。ただし加工が非常に難しく、チタンなどに比べてかなり高価になります。
チタンと同様に、表面を特殊な液に浸して電気を流すと、酸化被膜の厚さが変わって光が屈折し、着色料なしで鮮やかな虹色を生み出します。記念硬貨の美しい発色などにも使われる技術です。
非常に高い温度にも耐えられるタフな金属であるため、宇宙へ飛び立つロケットエンジンのノズルなど、過酷な環境で使われる特殊な耐熱合金のスパイスとして極めて重要な役割を果たします。
地球上に広く存在しますが、純粋な金属を取り出すのが難しいためレアメタルに指定されています。1グラムあたりの価格は数十円程度ですが、超伝導技術の要として世界中で需要が急増しています。
鉄にほんの少し混ぜるだけで、鋼鉄の強度が飛躍的に上がります。巨大な橋や高層ビル、自動車のボディなど、軽くて丈夫な鉄を作るための魔法の添加剤としてわずかに配合されています。
SF小説などでは、未来の地球を覆う巨大な超伝導送電網や、軌道エレベーターのケーブルを構成する未知の合金素材として、ニオブベースの架空の金属が登場し、世界観に説得力を持たせます。