電気と熱を極めてよく通す性質を持ち、電線や電子基板として世界のエネルギーと情報伝達を担う血液のような金属です。人類が初めて使いこなした金属とも言われ、10円玉やオリンピックの銅メダルなど、歴史の夜明けから現代の最先端技術まで常に人類と共に歩んできました。
英語のコッパー(Copper)は、古代ローマ時代に銅の巨大な産地だったキプロス島に由来します。キプロスはギリシャ神話の美と愛の女神ヴィーナス(アフロディーテ)が誕生した島としても知られています。
金や銀を除き、人類が自然界から初めて取り出して道具にした金属が銅だと言われています。スズを混ぜて青銅(ブロンズ)にすることで飛躍的に硬くなり、青銅器時代という文明の大発展をもたらしました。
銀に次いで2番目に電気を通しやすい金属です。銀は高価すぎるため、世界中の電線やパソコンの中の配線はほぼすべて銅で作られています。現代の電気社会は、銅の糸が張り巡らされることで成り立っています。
電気だけでなく熱も非常に素早く伝える性質があります。銅の鍋やフライパンは火の熱が瞬時に全体へ均一に広がるため、卵焼きがふっくらと焼けたり、ジャムが焦げ付かずに美味しく仕上がったりするのです。
アメリカの自由の女神は、元々は10円玉のようなピカピカの赤茶色でした。長い年月をかけて雨や空気中の成分と反応し、緑青(ろくしょう)と呼ばれる美しい青緑色のサビに覆われ、あのような姿になったのです。
人間の血液は鉄の力で赤くなりますが、タコやイカ、カブトガニの血液はヘモシアニンという銅を含むタンパク質で酸素を運んでいます。そのため、酸素と結びついた彼らの血液は神秘的な青色をしています。
大量に採掘されるため1グラム数円程度と安価です。オリンピックの銅メダルは丹銅という銅と亜鉛の合金で作られており、素材の価値としては数百円程度ですが、そこに込められた栄光の価値はプライスレスです。
銅には微量作用と呼ばれる強力な殺菌パワーがあり、表面についた病原菌やウイルスを短時間で死滅させます。そのため、病院のドアノブや靴の中敷き(十円玉を入れる裏技)に活用される優れた衛生素材です。
トランペットやサックスなどの金管楽器(ブラス)は、銅と亜鉛を混ぜた真鍮(しんちゅう)で作られています。加工しやすく、適度な硬さと響きを持つため、音楽の歴史において最も美しい音色を奏でてきた金属です。
スチームパンクのSF作品において、銅と真鍮は絶対的な主役です。赤茶色や鈍い金色のレトロな質感を持つ金属の歯車やパイプが複雑に絡み合うデザインは、ノスタルジックな未来を感じさせる魔法のビジュアルです。