鉄よりも軽くアルミニウムよりも頑丈で、おまけに絶対に錆びないという奇跡のような金属です。航空機のエンジンや宇宙船、さらには人工骨やメガネのフレームまで大活躍しています。とても身近な白い絵の具や日焼け止めの成分もチタンから作られており、見えないところで私たちの生活を彩っています。
ギリシャ神話に登場する力強い巨神ティーターンが名前の由来です。その名の通り、非常に強度が高くて過酷な環境にも耐えられる無敵の金属としてのイメージが、発見された当初からすでに期待されていました。
チタンの表面は、空気中の酸素と一瞬で結びついて透明で極めて強固な酸化被膜を作り出します。このバリアのおかげで、海水の中に何十年も沈めておいても全くサビないという、他の金属にはない圧倒的な耐食性を誇ります。
地球の表面にはたくさん存在するありふれた金属ですが、酸素とあまりにも強く結びついているため、純粋な金属として引き剥がすのに莫大な熱と電気を使います。そのため価格は1グラム数十円と鉄の何倍も高価です。
金属アレルギーをほとんど起こさず、人間の骨と自然にくっつくという驚異的な性質を持っています。そのため、人工関節やインプラントの歯の根元など、医療の最前線で人体をサポートする欠かせないパーツになっています。
チタンが酸素と結びついた酸化チタンは、強烈な白さを誇る粉末です。美術で使う白い絵の具から、化粧品のファンデーション、ガードレールの白いペンキ、身近な錠剤の白いコーティングまで、世界中の白の正体です。
酸化チタンに太陽の紫外線を当てると、強力なパワーが発生して表面についた汚れやばい菌を水と二酸化炭素に分解してしまいます。この光触媒の技術により、雨が降るだけで綺麗になる外壁タイルなどが実用化されました。
深さ1万メートルのマリアナ海溝などに潜る深海探査艇の船体は、分厚いチタン合金で作られています。鉄では重すぎて沈むだけでなく、恐ろしい水圧で潰れてしまうため、チタンの軽さと強靭さだけが頼りなのです。
金属アレルギーを起こしにくく、汗にも強くて極めて軽いため、毎日肌に触れるメガネのフレームや高級時計のケースとして大人気です。少し価格は張りますが、一生モノとして長く使える最高のパートナーになります。
チタンの表面に電気を流して酸化被膜の厚さをナノメートル単位でコントロールすると、光の屈折率が変わって青や紫など鮮やかな虹色に見えるようになります。着色料を一切使わずに色を出す美しい伝統工芸の技術です。
軽くて硬くてサビないという完璧すぎるスペックから、SFアニメに登場する巨大ロボットの装甲はチタン合金で作られているという設定が王道です。実在する金属でありながら、未来感と最強感をあわせ持つロマンの塊です。