アルミニウムと混ぜると驚くほど軽くて頑丈になる魔法の金属です。スポーツ用の自転車フレームや野球のバットなどで活躍しますが、地球上に薄く広く散らばっていて抽出が難しいため非常に高価です。メンデレーエフが未発見の元素として予言し、見事に的中させた歴史的な背景も持っています。
発見された鉱石がスカンジナビア半島で採れたため、その地名にちなんで名付けられました。北欧の厳しい自然が生み出した希少な鉱物の中から、スウェーデンの化学者ニルソンが苦労の末に発見したのです。
周期表を作ったメンデレーエフは、この元素が発見される10年も前にエカホウ素という仮の名前で存在を予言していました。重さや性質までピタリと当てたため、彼の周期表の正しさが世界中に証明されました。
地球上にはそこそこ存在するのですが、特定の鉱山にまとまっておらず広く薄く散らばっています。ウランなどを精製する時の副産物として微量しか取れないため、1グラム数千円もする非常に高価な金属です。
アルミニウムにほんの少し混ぜるだけで、溶接しても割れにくく強度が劇的に上がるスカンジウム合金になります。プロ用のロードバイクのフレームや、金属バットなど、軽さと強さが求められるスポーツ界で大活躍です。
スカンジウムをランプの中に封入すると、太陽の光にとても近い自然で強烈な白い光を放ちます。この性質を利用したメタルハライドランプは、野球場などの巨大なスタジアムや体育館を明るく照らしています。
一部の植物では、スカンジウムのごく薄い水溶液を与えることで種子の発芽が早まったり、成長が促進されたりするという不思議な研究結果があります。農業分野での新しい活用方法としてひそかに注目されています。
地球の表面ではなかなかまとまって見つからないレアな金属ですが、太陽をはじめとする恒星の光を分析すると、スカンジウムの存在を示す光の線がはっきりと確認できます。宇宙では意外と目立ちたがり屋なのです。
高価ですが軽くて極めて頑丈なため、一部の特殊なリボルバー型拳銃のフレームにアルミニウムとスカンジウムの合金が使われることがあります。軽いため持ち運びやすく、発射の衝撃にも耐えられる最高の素材です。
冷戦時代、旧ソ連軍はミグ戦闘機の一部にスカンジウム合金を採用し、機体の軽量化と強度のアップを図っていました。長らく軍事機密として扱われていたため、西側諸国にはその利用方法が知られていませんでした。
SF映画や小説では、その軽さと強度のバランスの良さから、深宇宙を探査する宇宙船の骨格や、モビルスーツのような巨大ロボットの軽量フレーム素材として、スカンジウム合金が設定に盛り込まれることがあります。