| 原子量 | 40.078 |
|---|---|
| 分類 | 第4周期 / 第2族 |
| 状態(常温) | solid |
| 発見者 / 年 | デービー (1808年 / イギリス) |
人間の骨や歯の主成分であり、体内に最も多く存在するミネラルです。自然界では石灰岩や大理石として地球の景色を形作り、セメントやチョークの材料として私たちの街を作っています。銀白色の金属ですが、空気や水と反応しやすいため、そのままの姿でお目にかかることはほとんどありません。
ラテン語で石や石灰を意味するカルクス(calx)が語源です。大昔から石灰岩を焼いて作った漆喰が建物の接着剤や壁塗りに使われており、古代ローマの壮大な建築物もこのカルシウムの化合物なしには完成しませんでした。
人間の体のカルシウムの99パーセントは骨と歯に存在します。しかし骨はただの硬い棒ではなく、常に古い骨を壊して新しい骨を作るというサイクルを繰り返しており、血液中のカルシウム濃度を一定に保つための貯蔵庫の役割も果たしています。
日本の秋吉台などに広がる石灰岩のカルスト台地や巨大な鍾乳洞。あれは数億年前の海にいたサンゴや貝類などの微生物が、海水のカルシウムを取り込んで作った殻が海底に積み重なり、途方もない年月をかけて陸地に隆起したものです。
日本は多くの地下資源を輸入に頼っていますが、セメントの原料になる石灰石だけは国内でいくらでも自給自足できる数少ない豊富な資源です。そのため炭酸カルシウムとしての価格はタダ同然で、建築や工業を支える重要な土台です。
卵の硬い殻の成分は炭酸カルシウムです。これをお酢(酢酸)の中に数日浸しておくと、カルシウムが溶け出して二酸化炭素の泡を出し、中身を包む薄い膜だけが残ります。まるで透明なゴムまりのように弾む不思議な卵を作る実験です。
学校の黒板で使うチョークは、昔は石灰岩を砕いた炭酸カルシウムから作られていました。最近ではホタテの貝殻や卵の殻をリサイクルして環境に優しいチョークが作られたり、より重くて粉が飛ばない硫酸カルシウムが使われたりしています。
古代ローマ帝国では、火山灰と石灰(カルシウム)を混ぜて作ったローマンコンクリートが使われました。現代のコンクリートよりもはるかに長持ちし、海水の成分と反応してさらに硬くなるという、現代の科学者も驚く超技術でした。
骨を作るだけでなく、残り1パーセントのカルシウムが血液や細胞の中にあり、心臓の筋肉を規則正しく動かしたり、ケガをした時に血液を固めて出血を止めたりする、まさに命のスイッチとして非常に重要な働きを24時間続けています。
ヨーロッパなどの地下水は石灰岩の地層を通ってくるため、カルシウムやマグネシウムが大量に溶け込んだ硬水になります。一方、日本の水は火山岩を通るためミネラルが少ない軟水であり、お茶や出汁を美味しく淹れるのに適しています。
映画「ターミネーター」やアメコミの「ウルヴァリン」など、SF作品では脆いカルシウムの骨をより強靭なチタンや架空の超金属に置き換えるという設定が定番です。人間をやめて無敵の強さを手に入れる改造手術のロマンです。