カッターで切れるほど柔らかい銀白色の金属で、水に触れると炎を上げて激しく爆発します。植物が育つための肥料の三大要素の一つであり、人間の体内では余分な塩分を排出して血圧を下げる働きがあります。実は自然界のカリウムにはわずかに放射能が含まれているという驚きの特徴もあります。
アラビア語で植物の灰を意味するアルカリという言葉や、英語で壺の灰を意味するポットアッシュ(Potash)が名前の由来です。大昔から、草木を燃やした灰が畑の肥料になったり洗剤代わりになったりすることは経験的に知られていました。
同じ仲間のナトリウムよりもさらに反応が激しく、水に触れた瞬間に水素ガスを発生させながら、カリウム特有の美しい紫色の炎を上げて大爆発します。もちろん空気中の水分とも反応するため、灯油の中に沈めて厳重に保管されます。
1807年、イギリスの化学者デービーが水酸化カリウムを強力な電池で電気分解し、初めて銀色に輝く純粋な金属カリウムの粒を取り出しました。彼はこの大発見の際、喜びのあまり実験室で小躍りして喜んだというエピソードが残っています。
バナナやメロンなどの果物に多く含まれる必須ミネラルです。体内の余分なナトリウム(塩分)を尿として体の外へ追い出す働きがあり、高血圧の予防や足のむくみ、筋肉の痙攣(こむら返り)を防ぐ重要な役割を担っています。
塩化カリウムなどの肥料用鉱石は世界中で大量に採掘されるため極めて安価です。しかし、金属としてのカリウムは非常に危険で加工や保存が難しいため、実験用に購入すると1グラム数十円から百円程度と少し高めの値段がつきます。
自然界のカリウムには、ごくわずかにカリウム40という放射性同位体が含まれています。私たちの体の中にもカリウムがあるため、実は人間自身からも常に微量の放射線が出ています。もちろん健康には全く影響のないレベルの自然の被ばくです。
原子力発電所の事故などで検出されたごく微量の放射線がどれくらい安全かを説明する際、バナナを一本食べた時の放射線量に例えるバナナ等価線量というユニークな指標が使われることがあります。科学者のちょっとしたジョークです。
人間の細胞の表面には、ナトリウムとカリウムを出し入れするポンプのような仕組みがあります。この出し入れによってわずかな電気が発生し、脳からの命令が神経を伝わって心臓や筋肉を動かすという、生命維持の根本を担っています。
普通の固形石鹸はナトリウムを使って作りますが、代わりに水酸化カリウムを使って油と反応させると、水に溶けやすいドロドロの柔らかい石鹸になります。ハンドソープやボディソープなどの液体石鹸は、このカリウムの性質を利用しています。
植物の成長に絶対に欠かせない要素であることから、SF作品に登場する植物型エイリアンや巨大な宇宙樹のエネルギー源として設定されることがあります。人類がカリウム鉱床を巡って異星人と資源戦争を繰り広げる展開の理由になります。