| 原子量 | 35.45 |
|---|---|
| 分類 | 第3周期 / 第17族 |
| 状態(常温) | gas |
| 発見者 / 年 | シェーレ (1774年 / スウェーデン) |
強い刺激臭を持つ黄緑色の気体で、強力な殺菌作用と漂白作用を持ちます。プールの消毒液や家庭用の漂白剤に使われるほか、ナトリウムと結びつけば食卓の塩になります。第一次世界大戦では人類初の本格的な化学兵器として使われたという、恐ろしくも身近で不可欠な元素です。
ギリシャ語で黄緑色を意味するクロロスが語源です。自然界では単体の気体として存在することはなく、必ず他の元素と結びついています。人工的に取り出された塩素ガスは、独特の重苦しい黄緑色をした気体で、強烈な刺激臭があります。
猛毒の塩素ガスですが、爆発物のナトリウムと結びつくと塩化ナトリウム、つまり食塩になります。地球の海には莫大な量の塩素イオンが溶け込んでおり、私たちの血液や涙のしょっぱさも、この塩素とナトリウムの働きによるものです。
学校のプール独特のツンとした匂い。実はあれは消毒用の塩素そのものの匂いではありません。水中の塩素が、人間の汗や尿などに含まれるアンモニア成分と反応してクロラミンという物質に変化した時に発生する匂いなのです。
第一次世界大戦中、ドイツ軍のフリッツ・ハーバーによって世界初の本格的な化学兵器として実戦投入されました。空気より重い黄緑色の塩素ガスが塹壕の底に流れ込み、多くの兵士が呼吸器を破壊されて命を落とす凄惨な結果を招きました。
塩素には相手の物質から電子を無理やり奪い取る強力な酸化作用があります。この性質を利用して、衣類のしつこいシミや汚れの色素の構造を根本から破壊し、無色の物質に変えてしまうのが塩素系漂白剤の仕組みです。
工業的には、海水や岩塩から作った濃い食塩水を電気分解することで、水酸化ナトリウムと一緒に大量かつ安価に作り出すことができます。そのため価格は極めて安く、浄水場の殺菌など世界の公衆衛生を守るために安価に供給されています。
炭素や水素と結びついたポリ塩化ビニルは、世界で最も使われているプラスチックの一つです。水道の配管(塩ビパイプ)から、身近な消しゴム、レコード盤、さらには建物の壁紙まで、形を変えて私たちの生活を支えています。
家庭用の塩素系漂白剤(アルカリ性)と、トイレ用の酸性洗剤を混ぜると、急激な化学反応が起きて猛毒の塩素ガスが大量に発生します。死亡事故も起きている大変危険な現象なので、製品のパッケージには必ず大きく警告が書かれています。
かつてスプレーなどに使われたフロンガスが空高く昇ると、紫外線で分解されて塩素原子が飛び出します。このたった1個の塩素原子が、数万個ものオゾン分子を次々と連鎖的に破壊してしまうため、地球の環境問題となりました。
SF映画では、かつて豊かな海があった惑星の水分がすべて宇宙へ蒸発し、一面が塩化物の結晶で覆われた見渡す限りの真っ白な塩の砂漠の星が登場します。生物の住めない荒涼とした世界を描く際に、塩素化合物は絶好の素材となります。