地球の地面や石の主成分であり、酸素の次に多く存在する元素です。電気を通す・通さないの中間の性質である半導体としての特性を持ち、現代のコンピュータやスマートフォンの頭脳に絶対欠かせません。ただの石ころが最先端のデジタル社会を動かしている奇跡の物質です。
ラテン語で硬い石や火打ち石を意味するシレックス(silex)がシリコン(ケイ素)の語源です。大昔の人類が火を起こすために石を打ち鳴らしていた頃から、文明の進化と密接に関わってきた元素と言えます。
アメリカのIT企業が密集するシリコンバレーという地名は、コンピュータの脳である半導体チップの主成分がシリコン(ケイ素)であることに由来しています。世界の最先端テクノロジーはこの元素を中心に回っています。
ケイ素が酸素と結びついた二酸化ケイ素を高温でドロドロに溶かし、急激に冷やして固めたものがガラスです。窓ガラスやコップなど、透明で美しい日用品の正体は、実はそこら辺にある砂や石ころの成分と全く同じなのです。
砂から取り出すため原料はタダ同然ですが、半導体チップを作るためには不純物を極限まで取り除く必要があります。9(ナイン)が11個並ぶ「イレブン・ナイン」という恐ろしい純度まで精製するため、莫大な技術とコストがかかります。
占い師の水晶玉や、パワーストーンでおなじみの水晶(クォーツ)も、二酸化ケイ素が長い年月をかけて美しく規則正しく結晶化したものです。紫色のものはアメジストと呼ばれ、古くから宝石として重宝されています。
クッキーや海苔の袋に入っている乾燥剤のシリカゲル。これは二酸化ケイ素(シリカ)に無数の目に見えないミクロの穴を開けたもので、その穴に空気中の水分を強力に吸い込んで閉じ込めるという素晴らしい仕組みです。
ケイ素と酸素などを結合させた人工の樹脂をシリコーンと呼びます。熱に強くツルツル滑る性質があるため、髪をコーティングして指通りを良くするシャンプーや、料理用の柔らかいゴムヘラなどに幅広く使われています。
ケイ素の半導体に光が当たると、内部で電子が弾き出されて電気が流れるという性質があります。これが屋根の上に乗っている太陽光パネル(ソーラーパネル)の仕組みであり、エコな再生可能エネルギーの主役です。
海や川にいる珪藻(ケイソウ)という微生物は、水中に溶けているケイ素を取り込んで、まるでガラス細工のような緻密で美しい殻を作ります。彼らの死骸が積もった珪藻土は、水はけの良いバスマットなどに利用されます。
炭素と化学的な性質が似ているため、SF小説や映画では「炭素の代わりにケイ素をベースにした細胞を持つエイリアン(ケイ素生命体)」がよく登場します。岩のように硬い皮膚を持ち、高熱にも耐える強敵として描かれます。