| 原子量 | [294] |
|---|---|
| 分類 | 第7周期 / 第17族 |
| 状態(常温) | unknown |
| 発見者 / 年 | ロシア・アメリカ共同研究 (2010年 / ロシア・米) |
合成に必要な材料を提供したアメリカのテネシー州にちなんで名付けられた人工元素です。ハロゲンの仲間ですが、重すぎるため金属のような性質を持つと予想されています。用途はありませんが、周期表の第7周期を埋めるための最後のピースとして、科学史に輝かしい名前を残したロマン溢れる物質です。
アメリカのテネシー州にあるオークリッジ国立研究所などの多大な貢献を称えて命名されました。超重元素合成に不可欠な貴重な標的材料を作り出す、世界最高峰の原子力研究拠点です。
合成には97番元素バークリウム249という超レア物質が必要でした。オークリッジ研究所の原子炉を250日間も稼働させて、ようやく22ミリグラムの標的材料が作られたという過酷な道のりです。
作られたバークリウムは半減期が約330日しかないため、急いで厳重な鉛の容器に入れられ、実験が行われるロシアのドブナ研究所まで大急ぎで空輸されました。まさに時間との戦いでした。
ロシアに到着したバークリウムに、魔法の弾丸カルシウム48を衝突させてついにテネシンが合成されました。アメリカの材料とロシアの加速器が見事に融合した、執念の共同研究です。
フッ素(Fluorine)や塩素(Chlorine)など、ハロゲン族の元素の英語名は「ine」で終わる伝統があります。それに従いTennessine(テネシン)と命名されました。
周期表ではハロゲンの列の末尾にいますが、相対論的効果により、ヨウ素などのような性質ではなく、電気を通す金属のような性質を持っているのではないかと理論的に予想されています。
バークリウム自体が1グラム数十億円もする上、それを使って数個の原子しか作れません。寿命も数十分の一秒しかなく、1グラムの塊を集めることは地球の財力はおろか宇宙の法則が許しません。
117番は長い間発見されず、周期表の第7周期の中で最後まで残された空席となっていました。テネシンの合成成功により、ついに第7周期までのすべての席が美しく埋め尽くされました。
115番のモスコビウム、118番のオガネソンと同時に命名が発表されました。米露の研究所の所在地がお互いに周期表に刻まれるという、科学の歴史に残る平和的なモニュメントです。
ハロゲンのように反応しつつ金属の性質も持つという矛盾した予想から、SF作品ではあらゆるエネルギー攻撃を吸収して無効化する、架空の超次元シールドのコーティング剤として設定されます。