核分裂を理論的に解明しながらも、女性差別などによりノーベル賞を逃した不遇の天才物理学者リーゼ・マイトナーに由来します。実用性はゼロですが、彼女の功績を称えてドイツのチームが命名しました。ノーベル賞すら及ばない元素名という科学界最高の栄誉を手にした劇的なエピソードを持つ物質です。
核分裂のメカニズムを世界で初めて理論的に解明したオーストリア出身のリーゼ・マイトナーにちなんで命名されました。実際の女性科学者の名前が付けられたのは、キュリー夫人に次いで歴史上2人目です。
共同研究者のハーンは核分裂の発見でノーベル賞を受賞しましたが、彼女は女性差別やユダヤ人迫害の影響で不当に受賞を逃してしまいました。科学史における大きな不正義の一つと言われています。
賞を逃した彼女の本当の功績を後世に永遠に伝えるため、ドイツの発見チームが周期表に彼女の名前を刻むという提案をしました。これはノーベル賞をも超える、科学者にとって最大の栄誉です。
ビスマス209の標的に鉄58のビームを衝突させる冷たい核融合技術で合成されました。重イオン研究所のチームの技術が極まり、次々と新しい元素を撃ち落とすスナイパーのような精度を発揮しました。
1982年の最初の実験で検出されたマイトネリウムの原子は、なんとたったの1個でした。ノイズの海の中からその奇跡の1個を見つけ出し、それが新元素であることを証明した歴史的な瞬間です。
周期表ではイリジウムの真下に位置する白金族の仲間です。しかし寿命が数ミリ秒しかなく、気体になるような化合物も作りにくいため、化学的な性質を調べる実験は現在でも極めて困難を極めます。
無数のノイズの中からたった1個の目的の原子を見つけ出すため、電気と磁力を使って特定の速度で飛ぶ原子だけをふるい分ける速度フィルターという画期的な装置が使われました。
たった1個作るだけで天文学的な費用がかかるため価格はありません。作られた瞬間に激しく放射線を出して崩壊してしまうため、未来永劫、目に見える形でお金で取引されることはありません。
マイトナーは核兵器の開発には一切協力せず、生涯平和を願い続けた人物でした。その彼女の名前が、平和的な基礎科学の結晶である人工元素に付けられたことは、非常に意義深いメッセージです。
核分裂理論の母の名前を持つことから、SFゲームなどでは物理法則を書き換えて無限のエネルギーを生み出す特殊な核反応炉の究極の触媒や、次元断層を安定させるコア素材として設定されます。