| 原子量 | [257] |
|---|---|
| 分類 | 第7周期 / 第3族 |
| 状態(常温) | solid |
| 発見者 / 年 | ギオルソら (1952年 / アメリカ) |
世界初の原子炉を作ったノーベル賞物理学者エンリコ・フェルミにちなんで命名されました。アインスタイニウムと共に水爆実験のチリの中から発見された、原子番号がちょうど100番の記念すべき元素です。中性子を連続して吸収させる手法で作れる限界の重さであり、未知の領域への扉を閉ざす壁のような存在です。
世界で初めて人工的な核分裂連鎖反応(原子炉)を成功させたイタリア出身の偉大な物理学者、エンリコ・フェルミの功績を称えて名付けられました。原子力の歴史を切り拓いた彼にふさわしい名前です。
1952年の最初の大規模な水爆実験(アイビー・マイク)で生じた死の灰のチリの中から、99番のアインスタイニウムと同時に、ごくわずかな量が発見されました。恐ろしい爆発から生まれた双子の元素です。
1番の水素から始まり、ついに人類が到達した記念すべき三桁の100番元素です。100番というキリの良い数字は、元素合成の歴史における大きなマイルストーンとして科学者たちに感動を与えました。
ウランに原子炉で中性子を吸収させ続けて作れる元素は、このフェルミウムが限界です。これ以上は作ろうとしても一瞬で壊れてしまうため、101番以降を作るには巨大な加速器で原子核同士を激突させるしかありません。
フェルミウムが生まれるためには、ウランの原子核が中性子を連続してなんと17回も吸収しなければなりません。水爆の中心で起きた中性子の嵐がいかに凄まじい密度だったかを物語る証拠でもあります。
最も長生きする同位体でも約100日で半減し、実験で使われるものは数時間から数ミリ秒で消滅してしまいます。そのため、マクロな量の金属の塊として観察することは物理的に絶対に不可能です。
フェルミウムの化学的な性質を調べる実験は、溶液の中に存在するたった数個から数十個の原子の放射線を追跡するという、極限のミクロレベルの神業のようなテクニックで行われています。
これもアインスタイニウムと同じく水爆実験に関わる軍事機密だったため、発見から数年後の1955年になってようやく世界に発表されました。平和利用への願いを込めて、フェルミの名前が冠されました。
実験室の特殊な装置の中で一瞬だけ生まれ、作られたと同時に消えていくため、目に見える量が存在したことは人類史上ありません。売買されることは永遠にないため、価格をつけることは不可能です。
ちょうど100番目という象徴的な数字と、フェルミという偉大な物理学者の響きから、SFアニメなどでは超光速で飛ぶためのワープエンジンや、重力制御システムの心臓部を構成する架空の同位体として語られます。