宇宙で最も豊富に存在し、すべての元素の中で最も軽い無色透明の気体です。酸素と結びついて燃えると水になる性質から、次世代のクリーンエネルギーとして期待されています。実は人間の体を構成する原子の数でもトップを誇る、生命と宇宙の根源的な元素です。
ギリシャ語の「水(hydro)」と「生み出す(gennao)」を組み合わせた言葉が語源です。水素を燃やすと酸素と結びついて水ができるという、最大の特徴から名付けられました。
気体の水素は1グラムあたり約1から2円程度と非常に安価です。しかし、保存や運搬のために極低温で冷やして液体にする必要があり、その特殊な設備や電気代に多くのコストがかかっています。
宇宙誕生のビッグバンで一番最初に作られた元素です。それから138億年経った現在でも、宇宙空間にあるすべての物質の質量の約7割を水素が占めるという、圧倒的な存在感を放っています。
水素燃料電池車は、水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を作り、その電気でモーターを回して走ります。排出するのは純粋な水だけという、地球環境に極めて優しい自動車として実用化されています。
かつては非常に軽いため、空を飛ぶ巨大な飛行船の浮力として使われていました。しかし、1937年にアメリカで引火して大爆発事故を起こし、それ以降は燃えない安全なヘリウムに取って代わられました。
太陽の内部では、超高温と超高圧によって水素原子同士が激しくぶつかり合う「核融合」が絶えず起きています。この反応によって莫大なエネルギーが生まれ、地球に光と熱を届けてくれているのです。
SF作品では、宇宙空間にわずかに漂う水素を前方の漏斗のような装置で集め、それを燃料にして進み続ける「バサード・ラムジェット」という夢の推進機関がよく登場し、恒星間飛行を可能にしています。
人間の体の重さの約60パーセントは水分でできています。そのため、体を構成している元素を重さではなく「原子の数」で数えると、酸素や炭素を抑えて水素がぶっちぎりの第1位になります。
気体の水素を液体にするためには、マイナス253度以下という極低温まで冷やさなければなりません。この冷たくて軽い液体水素は、宇宙ロケットを打ち上げるための強力な燃料として大活躍しています。
地球上ではほとんどが水として存在するため、水素だけを取り出すには水を電気分解する必要があります。大量の電気を使わずに、太陽光などの自然エネルギーを使って効率よく作り出す研究が進んでいます。